お口に関する話

2008年9月アーカイブ

1988年のソウルオリンピックの頃の話ですが、当時100メートル競走のトップアスリートであったカール・ルイス選手が口の中に矯正装置をつけたまま走りました。スタート時のダッシュ力によって100分の1秒の差で勝負が決まる訳ですから、矯正治療でかみ合わせをよくすることでその効果を期待し、見事に金メダルを獲得しました。以来、今では矯正装置を付けたまま競技をしているアスリートは珍しくなくなりマラソンの土佐礼子選手もその一人です。このように歯並びを治すことでスポーツの成績や記憶力が向上することが期待できます。

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歯並びが悪いことで対人的にも劣等感がでたりして気になれば歯科矯正治療を受けて治したいと思うでしょうが、歯並びの悪さを本人も周囲もそれほど気にしていない場合などは歯並びを治そうとは思わないでしょう。歯医者さんで歯並びの問題のアドバイスを受けることもあると思いますが、治すからには目標となるメリットがあります。歯並びを治そうという元の発想は、むし歯や歯周病になりやすい環境を改善しようということから来ています。歯並びの悪さから重なり合った歯や傾いた歯は汚れが溜まりやすく掃除が困難です。そしてかみ合わせの不調和をきたし、顎関節症などの各種症状も歯並びの改善によって治すことが可能になります。

素敵な笑顔を目指す美容的要素も無視できない大切なことですが、一生お世話になる自分の歯を使いやすく管理しやすくしようというのが本当の理由になります。

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幼稚園の年長さんから小学校1~2年生位のお子さんがいらっしゃるご家庭では前歯が乳歯から永久歯に生え変わる時期に歯並びに目が届きやすくなるため、我が子の歯並びが気になると相談を受けることが少なくありません。そこで「矯正治療はいつから?」とよく質問されますが、一般的には永久歯が生えてくる小学校入学の前後が目安です。

乳歯と永久歯が混在する時期から永久歯へと変化してゆく時期を通じて糸切り歯(犬歯)の出てくる前後を基準に一方では150cm前後の身長をおよその目安に治療を第Ⅰ期と第Ⅱ期に分けて考えることで治療期間や治療費の支払いを合理的にすることができます。治療の内容は積極的に歯列を拡大してスペースを確保する「非抜歯矯正法」と抜歯をしたスペースを利用して並べる「抜歯矯正法」がありますが、歯並びの種類によってさらに複雑な治療法が組み込まれることになり3年~5年の治療期間が必要とされます。

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成人の矯正はこどもの場合と比べ異なる点があります。成長発育を見込むことができないので歯を移動する範囲に限りがでたり、年齢的にも一般論として女性の場合は65歳くらいが上限です。閉経期以降は歯の移動にともなう骨新生の代謝が遅くなることが予想されます。成人の方が矯正をすると「美容矯正志向」が高く治療に対しても非常に熱心です。

大人だけに口の中にいろいろな被せ物が入っていたり治療に使いたい肝心の歯が抜歯されていたりして矯正治療を進める上での条件が悪いことが少なくありません。

さらに、歯周病の患者さんでは継続的な管理を欠かさないようにしないと良い結果は得られません。

最近はミニインプラントを応用する方法が盛んになってきてこれまで不可能であった歯の移動が可能となりました。
 他にも、歯の裏側に装置をつけて表からは見えないように治療する舌側矯正や歯に貼り付ける金具を一切使用せずに透明のシートを歯にはめて動かす方法など従来法の欠点を補う方法も出てきていますが、
一長一短がありますので矯正歯科医とよく相談の上、自分にあった方法を選択しましょう。

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マウスガードご存知ですか?

ボクシングやラグビーの選手が口の中に入れているのを見たことがある人もいるのではないでしょうか。歯とその周辺組織を保護し、お口のけがを減らすために使われる弾力のある道具でマウスピースのようにお口にいれて使用します。むち打ちの症状を防いだり、軽くしてくれると同時に、脳震盪や脳神経系の損傷から脳を保護する働きが見込まれます。また、マウスガードを装着することにより運動能力の向上も期待できます。格闘技は勿論、幅広いスポーツに有効だと考えられています。歯科医院で製作するものは、歯の型を採って作るため口の中にしっかり固定され、かみ合わせの調整もできますので、かかりつけの歯科医院で相談してみてください。

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