お口に関する話

2009年8月アーカイブ

睡眠時無呼吸症には、神経性に呼吸が抑制されてしまう場合と、のどなどが狭くなって呼吸ができなくなる場合がありますが、多くの患者さんは後者の方になります。いびきの後呼吸がとまる、というのがこれに当たります。何らかの影響でのどが狭くなることが問題となるので、治療法としてはこれらを解決するものになります。治療の最も一般的な方法として、空気をある程度の圧をかけて喉に送り込み、閉塞を防ぐものがあります。効果は確実ですが、機器が大きく負担も大きいのが難点です。もう一つは専用のマウスピースを入れることで下顎の位置を改善し、呼吸をしやすくするというものがあります。さらには手術によって閉塞部位の改善を図る方法がありますが、内科、耳鼻科、歯科などの連携をはかり、複数の方法を取り入れより負担の少ない治療をしていくことが必要です。

ホワイトニングは変色してしまった歯を白くするもので、歯の表面の着色を落とすものではありません。方法としては、歯科医院で行うオフィスホワイトニングと、家庭で行うホームホワイトニングがあります。根本的にはあまり違いはありませんが、薬の濃度や作用機序が少し異なります。いずれにしても強い漂白作用で歯質の深い部分の変色を除去するため、時に「しみる」といった知覚異常を起こすことがあります。また、変色の度合いによって、治療の回数や期間はかなり異なります。状況に応じて適切な方法をとることが必要ですし、何年かすると元に戻っていくこともありますので、行う場合には歯医者さんに相談してください。

口腔乾燥症とは、口の中が乾いた感じを持つ症状のことをいいます。主に、唾液の減少によって口腔乾燥感が生じるのですが、口を開けて息をするため粘膜が乾燥するなど、唾液の量が正常でもこうした症状を持つことがあります。唾液の出方には、常にじわじわと出るものと、食事など刺激を感じたときにどっと出るものの2種類があります。後者の量が正常でも、前者が少なくなっていると普段の口腔乾燥感は強く感じられます。唾液減少は、老化に伴って起きることがあり、また薬の副作用や唾液減少を伴う病気というものも存在します。唾液減少によって、舌の灼熱感、口臭、むし歯、食事がしにくい、話しづらい、といった影響が出てきます。

唾液が減少すると、まず口の最も基本的な役割である、ものを食べる、というところでいろいろな問題が出てきます。食べ物がぱさつき、まとまらないため、飲み込みにくくなります。また、でんぷんの消化もできにくくなるため、胃に負担がかかります。次に、唾液は口の中を清潔にし、粘膜に湿り気を与えるのですが、これが障害されるため、むし歯ができやすくなる、歯周病が悪化しやすくなる、口臭がひどくなる、粘膜や舌が炎症を起こし、痛みを感じやすくなる、食べ物がおいしく感じられない、といった症状が出てきます。さらに、唾液のばい菌を殺したり有害物質を無毒化する力が弱まるため、風邪を引きやすくなるなどの症状も考えられます。

普段、何気なく口の中を潤してくれる唾液。これには私たちの健康を支えてくれる、様々な力が含まれています。一番身近な役割といえば、消化を助ける、というものでしょうか。唾液中にはデンプンの消化酵素があり、食物に水気を与え、食べ物の塊を作って飲み込みやすくするのも重要な役割です。味わう、ということにも唾液は大きく関わっています。さらに歯の表面の汚れを洗い流し、むし歯から歯を守るのも唾液の大切な役割です。口の中のばい菌の繁殖を抑え、口臭を予防するのにも唾液は大きな関わりを持っています。また唾液が食べ物の中の発ガン物質を無毒化することもわかってきました。さらに老化防止にも一役買っているのが唾液なのです。唾液の力もう一度見直しませんか。


プラークpHと脱灰・再石灰化

プラークpHと脱灰・再石灰化


発ガン性物質に対する唾液の毒消し効果

発ガン性物質に対する唾液の毒消し効果

眼も口も乾燥しやすい状況があれば、水分が失われ「ドライ」な状態になります。例えば眼を使いすぎて、まばたきが減るとドライアイになることがあります。口の場合も、常に口を開いて口で呼吸していると乾燥することになります。ドライマウスでは、薬の副作用として唾液が出にくくなることがありますが、涙腺では、そうした影響はないようです。しかし共通におきるものとしてシェーグレン症候群というものがあります。これは涙腺や唾液腺など多くの腺組織を萎縮させ、ドライアイやドライマウスを起こすことになります。ドライアイだけなら、眼に負担をかけない日常生活を心がけることで改善しますが、シェーグレン症候群は全身に症状が及ぶので、しっかりした診断と治療が必要になります。

最近日本人の食生活の乱れが問題になっています。食品の種類や量は豊富でありながら、反面、朝食を摂らないなど不規則な食生活リズムや、好き嫌いによる栄養のかたよりによる肥満や生活習慣病の増加、過度のダイエットなどの問題があります。さらに最近では食品偽装事件など新たな「食」の安全性の不安がクローアップしており、決して豊かと言える状況ではありません。

豊かな緑と水に恵まれた自然の下で育まれてきた地元の食材を生かした味覚や文化を持つ日本の「食」を守っていくことが豊かな食生活といえるでしょう。そんな豊かな食生活のためにも皆さんの「お口の健康管理」が大変重要です。

「食育」はすべての世代に通じるものですが、特に子供たちに対する食育は、心身の成長や人格の形成に大きな影響を与えます。「食育」は子供の成長過程における「知育」「徳育」及び「体育」の基礎となる重要な位置づけがされてきています。

現代は子供たちの食生活が崩壊しつつあり,日々の家庭、保育所、学校、保健医療機関、行政などが連携し、子供たちの「食」に対する意識の向上を目指していく必要があります。人の体で食にかかわる最も重要な器官がお口です。歯科医療スタッフも、口腔衛生保健活動を通じて子供たちの食育に大きくかかわっています。お子さんのお口の健康管理を心がけましょう。