お口に関する話

2009年9月アーカイブ

骨粗しょう症の代表的治療薬の「ビスフォスフォネート製剤」(BP薬)は骨粗しょう症の治療薬に非常に有効なため多くの方に処方されています。他にもカルシウムの吸収を良くする「活性型ビタミンD剤」「ビタミンK剤」や閉経にて不足したホルモンを補充する「エストロゲン製剤」「カルシトニン製剤」のほか「カルシウム製剤」や「漢方療法」などが使用されています。BP薬を服用されている方に外科的歯科治療の抜歯、インプラント、歯周病の手術などを行った場合、その発生頻度は低いとされていますが、難治性の顎骨壊死や顎骨骨髄炎を起こすことがありますので、BP経口薬である「ダイドロネル」「フォサマック」「ボナロン」「アクトネル」「ベネット」などを服用されている方や注射薬で治療をされている方は、歯科治療の際には担当歯科医師にその旨を申し出てください。

骨粗しょう症と診断されBP薬が必要となった場合、必要な歯科治療を事前に済ませてから服用を開始した方が良いとされています。入れ歯も歯肉に食い込むような状態は危険ですので治しておきましょう。特に口の中が不潔な状態は病状が発生しやすくなりますので日頃からの管理が大切です。糖尿病、肥満、喫煙者も要注意です。

BP薬を使用していても歯石除去、むし歯治療、入れ歯治療などの通常の処置は可能です。3年以上使用している方や3年以内でもステロイド薬を併用されている方の場合はBP薬処方医と相談の上で外科的な治療前3ヶ月は服用を中止し、処置後も骨の回復を確認してから服用を再開します。注射薬使用の場合は更に慎重な対応が要求されます。この問題はまだ未解明の部分も多いため、抜歯やインプラントなどの処置は極力避けることが一般的な対策とされています。

骨粗しょう症の方は歯を支える顎の骨がスカスカになっていることから、歯周病と骨粗しょう症の重複進行で非常に危険な状態を招くことになります。予防のためには食事や運動などの生活習慣の改善として以下の問題に注意しましょう。

  1. 偏食によるカルシウム不足
  2. 運動不足
  3. 過度の喫煙や飲酒
  4. ストレスや過労
  5. 無理なダイエット
  6. 適度に日光浴する

歯科からみた予防対策としては日常の生活で食事はよく噛んで食べる(一口30回~50回)ことや毎食後のブラッシングをきちんと行うなどの基本的予防法はもとより、かかりつけ歯科医による定期健診やメインテナンスも大切です。もし、むし歯や歯周病の進行が確認されたなら早めに治療と予防対策を開始しましょう。

歯ぎしりや噛みしめはそれ自体は決して異常なことではなく人間にとってはストレス発散の場として考えられています。ところが、強大な力が持続的に加わる人の場合は歯と歯をこすり合わせる力から歯の形が変わるほど異常に磨り減ったり(写真1)、時には縦割れを起こし(写真2)歯を失う方もいます。異常な力の多くは睡眠時に発生することから本人にはその自覚がないことも問題です。以下にブラキシズムが原因と思われる症状を列記すると・歯がしみる・噛むと痛い・歯が磨り減る・詰め物の脱落・歯の破折・歯周病の悪化・口が開かない・顎がカクカクと鳴る・頭痛・肩こり・腕のシビレ・腰痛・舌が痛い等の様々な症状が出現します。

このような危険性をチェックし最悪な事態を防ぐよう日頃から歯科医院での定期管理をかかさないようにしましょう。


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写真1:激しく磨り減った下前歯、矢印の歯に痛みが出て来院


写真2:縦に破折し抜歯した歯

ブラキシズムは誰でもしていますが、異常に強い力の加わる人は危険な状態にあります。自分のブラキシズムの程度は歯科医院でチェックを受けましょう。異常なブラキシズムは一種の癖のようなものですから癖を治すために日常行動を変える以下のような心構えが必要です。日中の仕事や勉強に夢中になっている時に上下の歯を強く噛みしめていることに気が付いたら頬や肩の力を抜き歯を噛み合せないようにしてください。重い荷物を運んだり激しいスポーツの時も同じです。布団に入ったら何も考えないようにしましょう。そのためにも日頃からストレスをためないことです。高い枕は噛みしめやすくなるので避ける。食事は噛む回数を増やしていねいに噛み、左右均等に少しずつ噛み砕くようにする。実際どの程度できるのかやってみましょう。

一番大切なことは、むし歯や歯周病をきちんと管理することです。その理由はむし歯で神経を抜いた歯は割れやすくなり、歯周病のある方はより悪化しやすいからです。この悪い条件にひどいブラキシズムが加わった場合に相当な勢いで歯を失う危険性があります。 歯科医院では以下の対策を行います。

  1. 夜間の歯ぎしりや噛みしめから歯を守るために"ナイトガード"(写真3)というプロテクターを作ります。
  2. 左右の歯できちんと噛めるよう治療が必要な歯は治しておく(時には大掛かりな治療も必要となる)
  3. かみ合わせのバランスを調整する
  4. 定期メインテナンスをきちんと行い管理する。

最後に、これまで若い時から自分は歯が丈夫だと思っていた方にもこの危険は忍び寄っていますのでご注意ください。


写真3:ナイトガード~睡眠時に上の歯に装着

写真3:ナイトガード~睡眠時に上の歯に装着