お口に関する話

2010年3月アーカイブ

「自分の口臭で他人を不快にしてはいないか」と気になったりしませんか?
口臭は誰にでもあるものです。しかし、自身が主観的に感じているだけの場合も多く、周囲の人間が不快と感じるとき以外は特に心配に及ばないものです。今回はそんな口臭について解説します。

1)口臭の源

口臭はそのほとんどが口の中から発生します。その発生の源は新陳代謝によって捨てられた口の中の粘膜細胞、死んだ細菌、白血球、食物残渣などです。これらの多くは元々タンパク質であり、細菌によって分解されることで臭い物質である揮発性硫化物が作られます。このような分解過程および臭い物質の存在は通常の生理現象であり、口臭を感じられるかそうでないかは程度の問題と言えます。

2)生理的口臭と病的口臭

起床の直後、長時間の緊張、疲労時における唾液分泌の抑制があった場合に、他人に臭いを感じさせることがあります。これを「生理的口臭」と呼びますが、これらは臭いのレベルも低く、また一時的な臭いのためほとんど問題になりません。

一方で口の中が清潔でなく何らかの歯科的な疾患がある場合には、明らかに他人に不快感を与える臭いが発生します。これを「病的口臭」と呼びます。病的口臭の代表的な疾患としては歯周病があります。病的口臭の場合には、口臭そのものをなくすよりも、その原因となる疾患を明らかにして、その治療と管理を継続的に行っていくことが大切です。

※歯周病治療の基本は自分で行うブラッシングと歯科医院で行う機械的清掃です。お悩みの方はお近くの歯科医までお気軽にご相談下さい。

3)自臭症

実際には病的口臭がないにもかかわらず自分の口臭が気になり、いつも不安であったり、強い臭いが他人にも迷惑をかけているのではないかとお悩みの方は「自臭症」の疑いがあります。自臭症は潔癖症の人に多く、本当に臭いがあるかどうかは家族などに確認してもらう方法もありますが、より正確な判断を行うためには専門である歯科医に相談することをおすすめします。

介護を必要とする高齢者の方にとって、健康な人には病原体とはいえないような細菌によっても日和見感染症、感染性心内膜炎、誤嚥性肺炎に陥ることがあります。口腔ケアはこれらの疾患を予防するために行われます。

1)口腔ケアの効果

介護を必要とするお年寄りの場合、加齢や疾病による免疫機能の低下や、食べ物を飲み込む嚥下機能の障害によって異物や細菌などを肺に誤って吸い込んでしまうことがあり、それが原因となり誤嚥性肺炎を起こすことがあります。肺炎は高齢者の死亡原因の第一位であり、その7~8割は誤嚥性肺炎といわれています。たとえ死亡にいたらなくても肺炎による発熱の原因にもなります。口腔ケアの最大の効果は、口の中の汚れを改善し清潔にすることでこれらの肺炎や発熱に予防効果があることです。したがって、感染対策やリハビリテーションとして普段から継続的に行われることが望ましいとされています。

2)口腔ケアの実際

口腔ケアとして、歯ブラシ/デンタルフロス/歯間ブラシを用いたブラッシング、ガーゼ/スポンジによる歯ぐきや粘膜の清掃、舌の清掃、入れ歯の清掃、うがいなどを普段から行うことが大切です。これらは誰でもできる基本的な口腔ケアとなりますが、障害の程度によっては可能な範囲で行ってください。歯科医師や歯科衛生士はさらに専用器材を用いてより高度な口腔ケアを行います。また、舌や唇など口腔周囲に刺激を加え、唾液分泌の増加や嚥下機能の確認を行うことは、食べる機能に対して効果があるだけでなく意識レベルや認知機能の向上も期待できます。