お口に関する話

社団法人長野県歯科医師会: 2009年7月アーカイブ

金属アレルギーはネックレスなどの接触による皮膚炎で気づかれる場合が多いですが、一度金属アレルギーと診断された場合、アレルギーとなった原因の金属を調べる必要があります。歯科治療ではいろいろな金属を使用しているため、アレルギーの治療として、使われた金属をすべて除去する必要が出てきます。それでもすべてのケースでアレルギー症状が全快するわけではなく、どうしても症状がとれない場合も出てきます。いずれにしても原因をしっかりと調べ、治療については先生とよく相談してください。

高齢者のむし歯として特徴的に見られることは、歯の根(歯のつけ根)の部分のむし歯です。若いうちは、歯の根の部分が露出する事はあまりありませんが、高齢者になると、歯肉が退縮し、歯の根の部分が口の中に露出する事が多くなります。根の部分は歯の質が柔らかく、元来むし歯になりやすい場所なのですが、年齢ととともに唾液の減少や歯ブラシの不足、磨きづらさなどが相まって、むし歯の進行を早めてしまうのです。こうしたむし歯は、多くの歯に同時にできることが多く、歯の神経も感覚が鈍くなっていることから、相当進行しても症状があまり現れません。気がついた時には歯が折れてしまったということも多くなるのです。これを予防するためにも、定期的に歯医者さんにチェックしてもらいましょう。

高齢者の特徴として血圧や心臓の状態、糖尿病といった全身に関わる病気を有していることが多いことです。そうした病気がないとしても、体力や体の抵抗力が低下し、わずかなことで体に変調をきたすため、注意が必要です。歯科治療中に少しでも具合が悪く感じた場合は早めに歯医者さんにお伝えください。口の中の特徴としは唾液が少なくなり、歯肉が退縮して根が露出することが多くなることがあげられます。また歯ブラシも十分にしにくくなるため、むし歯ができやすくなります。従って、口の中の手入れを十分に行っていくことが歯科治療の大きな柱となってきます。現在の状態をできるだけ悪くさせないための治療を中心に、より快適に暮らせるように治療方針を立てますので、是非歯医者さんにご相談ください。

保険証等通常の歯科治療を受ける時と同様に用意していただき、その他、コップ、タオル、歯ブラシ、ティッシュなどをご用意下さい。その他必要なものは、その都度訪問される歯科医師から指示があります。また、訪問診療の際、ご家族はなるべく同席をして頂き、診療後に歯科医師からの指示を一緒にお聞き頂くのが良いでしょう。

歯科訪問診療を受けるには、特別な手続きは必要ありません。まずはかかりつけの歯科医師、またはケアマネージャーさんなどを通してご相談頂くのも良いでしょう。

相談される場合は、お名前とご住所、連絡先を正確にお伝えください。次に、お口の中がどのように具合が悪いのか、現在の全身状態、内科など主治医からの情報、飲んでいる薬などの情報をお伝えください。また、施設などへの訪問を希望される場合は、あらかじめ施設の職員の方に訪問診療の受診をされる旨お伝えください。

お口の機能は多岐にわたっており、病気などが原因でうまく機能しなくなると、単に咀嚼できないばかりでなく、味わうことや飲み込むことが難しくなったり、言葉がはっきり発音できなくなったりします。さらに誤嚥性肺炎と言ってお口の中の汚れが原因で肺炎になることもあります。従って歯科訪問診療で痛い歯を直したり、入れ歯を直すだけでなく、お口の中の汚れをきれいに清掃し、舌や唇など口の周りの機能を維持し、向上させるためにリハビリが必要になる場合もあります。こうしたお口の清掃やリハビリのことを「口腔ケア」といい、要介護者のQOL(Quality Of Life)のために注目されています。

入れ歯を直したり、むし歯の治療などを行う歯科訪問診療は、医療保険で行います。 また、介護保険の対象にならないような若い方や、要介護認定されていない方でも、歯科訪問診療を受けることができます。

一方、要介護認定されている方で訪問診療を行った結果、「口腔ケア」と言い、お口の中の清掃やリハビリが必要と判断された場合は介護保険を利用し、歯科医師や歯科衛生士の指導を受けることができます。

病気やけがなどによりご家庭や施設等で療養しており、通院による歯科治療が困難な方を対象に歯科訪問診療を受診することができます。また、歯科のない病院に入院中の方も歯科訪問診療の対象になります。例えば、寝たきりの方の歯が痛くなったり、車いすを使用しており移動が困難な方の入れ歯が壊れてしまい、歯科医院に連れて行くこともできず、本当に困ってしまったということは、介護に携わったことのある方なら経験したことはあると思います。そのような場合に歯科訪問診療を利用して頂くことができます。

歯科訪問診療とは、歯科医師が患者さんのご家庭や施設などを訪問して歯の治療を行うことであり、歯科の往診だと思って頂ければ良いと思います。実は歯科訪問診療は、かなり以前から一部の歯科医師により行われていましたが、携わる歯科医師の数も少なく、なかなか一般の皆様に浸透していませんでした。しかし急速な高齢化に伴い、高齢者及び寝たきりの方のお口の中の問題は、歯科医師、歯科衛生士を含め歯科全体の課題になってきました。歯科医師会によっては、会を挙げて取り組んでいるところもあり、現在では多くの歯科医院が歯科訪問診療に対応できるようになりました。