お口に関する話

全身の病気と歯科

全身の病気をお持ちの方も歯科受診は可能です。歯科受診の際は、ご自分の病気、症状について詳しくお話下さい。

Q睡眠時無呼吸症候群とは?
A睡眠時に一時的に呼吸が停止することは健常者でもあることなのですが、夜間 7 時間以上の睡眠中において10秒以上の呼吸停止が30回以上、しかも単位時間当たりの無呼吸回数が 5 回以上存在すると睡眠時無呼吸症候群とされています。無呼吸状態とその後の猛烈ないびきなどが大きな特徴です。
咽頭など上気道の閉塞によるものがほとんどです。睡眠中は筋肉が弛緩(緩む)するので舌がのどの奥に下がり気道を圧迫、閉塞します。
その他、呼吸中枢の障害が原因の場合もあります。
Q睡眠時無呼吸症候群ではどのような症状が現れるのでしょうか?
A無呼吸が繰り返し起こるためたびたび脳が目覚め、眠りが浅くなり熟睡することができません。よって朝の目覚めが悪かったり、昼間に著しい眠気に襲われます。
また、無呼吸ということは酸素の取り込みができず、二酸化炭素の滞ることとなります。酸欠状態になるわけですから脳血管障害、不整脈・狭心症・心筋梗塞などの心疾患を引き起こすリスクが高くなります。
更に10秒程度の呼吸停止後、呼吸が戻ると逆に急激に酸素量が回復するのですが、酸素量は急増すると血中に「活性酸素」が発生し、血管を傷つけます。これも血管にとっては悪影響です。酸素量の急増はインスリンの分泌にも関わるため糖尿病を誘発するとも言われています。
すなわち全身状態に大きな影響があるということです。
Q睡眠時無呼吸症候群はどのような方がなりやすいのですか?
Aどのような場合に上気道が閉塞しやすいかが問題です。一般的に肥満の方はのど周りの脂肪沈着により気道が狭くなっています。また先天的に下顎が小さい場合も気道が狭くなります。
それとは別に、呼吸中枢を刺激する女性ホルモンが年齢により減少し、体型に関係なく50歳以上の女性患者さんもいます。
またこの病気の性格上、無呼吸やいびきは家族からの指摘により本人が知るところとなります。
痩せていても睡眠時無呼吸症候群になりうるということです。
Q睡眠時無呼吸症候群と歯科とはどのような関わりがあるのでしょうか?
A主に治療に関わってきます。
閉塞性の睡眠時無呼吸症候群の治療は睡眠時に狭くなった気道をいかに確保するかが治療の主眼となります。
まず肥満体型ならば減量に努めます。多くは肥満に加え、高脂血症、糖尿病、循環器系疾患などいわゆる生活習慣病を併せ持っていることが多く、積極的な食事療法や運動療法が必要です。ただし、顎の形態が原因と考えられる方は、減量しても効果はありません。
次に、最も有効な治療法として圧力をかけ、鼻に付けたマスクから持続的に空気を流して気道を広げ睡眠中に気道が閉塞することを防ぐCPAP療法(通称シ―パップ)があります。症状が重い方ほど劇的な効果が得られます。一方、鼻マスクを一晩中装着しなければなりませんので違和感、圧迫感を感じる場合があります。寝返りも打ちにくいようです。空気を送る装置が必要ですから音や振動もあり、また出張、旅行などで装置を持ち歩くことは困難です。でもCPAP療法は第 1 選択であることは間違いありません。
歯科的に気道を確保する装置として睡眠時無呼吸症候群用のマウスピースがあります。スリープスプリントとも呼ばれています。
睡眠時に下顎が下がり舌が気道を圧迫しないように、予め舌を前方に押し出すように固定するものです。患者さんの歯型に合わせてオーダーメードで作ります。これで咽頭が広がることとなります。効果はCPAPほどではありませんが、何らかの理由でCPAPが使えない場合にマウスピースの適応となります。ただマウスピースも総義歯をお使いの方、ひどい顎関節症の方は使用できません。
Q治療までの段取りは?
ACPAPにしても、マウスピースにしてもまずは睡眠時無呼吸症候群であるとの診断が必要です。まずは耳鼻咽喉科、呼吸器科など医科の医療機関を受診してください。睡眠外来があれば最適です。残念ながら歯科医院で確定診断を下すことはできませんが、歯科医院でご相談いただき医科の医療機関に紹介状をお書きすることは可能です。
確定診断が出て医科からの照会によりマウスピースを作ることになります。
尚、CPAP、マウスピースともに健康保険が適用されることを申し添えておきます

残っている歯の数が少ない高齢者ほど、大脳の、記憶をつかさどる部位である海馬付近の容積が減少していることが、最近の研究で突き止められました。これまでの医学研究で、アルツハイマー病に罹ると海馬が萎縮することが知られていることから、歯の数と認知症との間にはなんらかの関係がある、つまり「認知症の予防には、自分の歯の数を保つことが大切である」と考えることができます。また同様の関係は、意志や思考などの脳機能に関連する前頭葉との間にも見られることが知られています。

このような研究結果から「噛むことで脳は刺激されるが、歯がなくなり、歯の周辺の神経が失われると、脳が刺激されなくなる。それが脳の働きに影響を与えているのではないか」と考えられます。しかし、歯を失っても、入れ歯等の適切な治療により、よくかむことができれば認知症の予防につながりますので、あきらめずに治療を受けることが大切です。

糖尿病の方は歯科治療の際に糖尿病であることを必ず歯科医にお伝えください。特に薬物療法をしている方は、服用している薬やインスリンの種類と量も必ずお伝えてください。

治療に当たっては、まず血糖コントロールを良くする必要があり、本格的な治療はそれからです。血糖値が高いと感染症にかかりやすく、出血を伴いやすい歯科治療では、治療前後に抗菌剤の使用が必要なこともあります。また、抜歯等の出血を伴う治療の後は、しばらく食事ができなくなりますので、先ほどとは反対に低血糖にも注意する必要があります。

歯科医は糖尿病の主治医に連絡をとってから治療しますが、患者さん自身も、あらかじめ主治医に相談しておくようにしましょう。

高血圧のために薬を服用されている方が多数いらっしゃいます。

高血圧症の方が歯科治療を受ける場合に問題となるのが麻酔と抜歯です。麻酔薬の中には血管収縮剤という成分が含まれており、これが原因で血圧が上昇する可能性があります。しかし血圧が薬でコントロールされていれば心配はいりません。

また、高血圧症の方は抜歯のあと出血がなかなか止まらない可能性があります。血圧が高いと出血する圧力も高いため、抜歯のストレスによって血圧が上昇し出血量が多くなります。以上のことから血圧がコントロールされていることが重要になってきます。

詳しい内容については、内科の先生と相談し、体調を整えながら治療を受けましょう。