お口に関する話

歯ぎしり

睡眠中にギリギリと他人にも聴こえる“歯ぎしり”だけではなく、日中・夜間にかかわらず歯を食いしばってしまう“噛みしめ”も含め専門的には“ブラキシズム”といいます。日常的に誰でも行っているのですが、ひどくなると様々な問題を引き起こし歯を失うこともあります。以下ブラキシズムについて解説します。

Q歯ぎしりにはいくつか種類があるそうなのですが、寝ているあいだにギーギーとかコリコリとか歯と歯がすれ合う歯ぎしり。これは何という種類なのでしょうか?
Aこの症状は「グラインディング」と呼ばれているもの。歯ぎしりの種類の内のひとつです。
Q「グラインディング」以外には、どんな種類があるのでしょう?
A歯を強く噛みしめたりくいしばったりする「クレンチング」、歯をすばやくカチカチと鳴らす「タッピング」があり、これらを合わせて「歯ぎしり」と呼んでいます。
Q音が出る場合だけではなく、歯をグッと噛みしめるのも、歯ぎしりのひとつなのですね。歯ぎしりはどうして起きるのでしょう?
Aいろいろな説があり、背景はまだよくわかってはいないというのが現状です。よくいわれるのは、精神的なストレスです。しかも眠りが浅い場合に起こりやすいといわれます。
Qどんな人に「歯ぎしり」は起きやすいのでしょうか?
A歯並びが悪く、また、一見良く見えても噛み合わせたとき均等に上の歯と下の歯が接触しておらず、特定の歯のみ強く接触している場合も歯ぎしりの原因になるといわれます。

歯ぎしりが体に及ぼす影響

Q歯ぎしり自体、健康に害があるものなのでしょうか?
A歯ぎしりが続くと、間違いなく歯がすり減ります。その結果、物を噛むときの効率が低下し、歯の噛み合わせがずれてしまうこともあります。容貌が変化することもありますし、顎の関節に負担がかかり、顎関節症になってしまう方もいます。
Q歯自体だけではなく、顎にも影響があるのですね?
Aそれだけではありません。歯ぎしりは、歯肉や歯を支えている組織に負担をかけ、歯周病をより悪化させる原因にもなります。

歯ぎしりを治す方法

Qでは、歯ぎしりを治す方法について伺います。歯科医院ではどんな治療を行うのでしょうか?
A噛み合わせの調整をします。
Q具体的な流れを教えてください。
A歯が抜けていれば、ブリッジを入れたり義歯を入れたりして、噛み合わせの回復を図ります。中には矯正治療を行う方もいますが、多くの場合は、歯型を取りその人に合わせたマウスピースのようなものを作ります。それを装着して眠ります。
Qマウスピースをつけることで、どんな効果が生まれるのでしょう?
A顎の動きがスムーズになり、歯ぎしりの癖がとれてくることが期待できます。歯のすり減りを避けることができますし、歯の周りの組織を守ることができます。
Q日ごろ、自分でできる歯ぎしりをやめる方法はありますか?
A歯ぎしりをやめなくてはならないと意識していれば頻度が少なくなったり、改善することが期待できます。
Q意識によって、改善するものですか?
A例えば、いつもより早く起きなければならないとき、寝る前に明日何時に起きなければならないと自分に暗示をかけて眠ると目覚まし時計が鳴る前に目が覚めることがあると思います。意識に働きかけることも有効な 1つです。歯ぎしりの自覚症状があったり、誰かに指摘されたりする場合は、まずは、意識する。そして、一度歯科医院で相談してみた方がいいかもしれませんね。

歯ぎしりや噛みしめはそれ自体は決して異常なことではなく人間にとってはストレス発散の場として考えられています。ところが、強大な力が持続的に加わる人の場合は歯と歯をこすり合わせる力から歯の形が変わるほど異常に磨り減ったり(写真1)、時には縦割れを起こし(写真2)歯を失う方もいます。異常な力の多くは睡眠時に発生することから本人にはその自覚がないことも問題です。以下にブラキシズムが原因と思われる症状を列記すると・歯がしみる・噛むと痛い・歯が磨り減る・詰め物の脱落・歯の破折・歯周病の悪化・口が開かない・顎がカクカクと鳴る・頭痛・肩こり・腕のシビレ・腰痛・舌が痛い等の様々な症状が出現します。

このような危険性をチェックし最悪な事態を防ぐよう日頃から歯科医院での定期管理をかかさないようにしましょう。


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写真1:激しく磨り減った下前歯、矢印の歯に痛みが出て来院


写真2:縦に破折し抜歯した歯

ブラキシズムは誰でもしていますが、異常に強い力の加わる人は危険な状態にあります。自分のブラキシズムの程度は歯科医院でチェックを受けましょう。異常なブラキシズムは一種の癖のようなものですから癖を治すために日常行動を変える以下のような心構えが必要です。日中の仕事や勉強に夢中になっている時に上下の歯を強く噛みしめていることに気が付いたら頬や肩の力を抜き歯を噛み合せないようにしてください。重い荷物を運んだり激しいスポーツの時も同じです。布団に入ったら何も考えないようにしましょう。そのためにも日頃からストレスをためないことです。高い枕は噛みしめやすくなるので避ける。食事は噛む回数を増やしていねいに噛み、左右均等に少しずつ噛み砕くようにする。実際どの程度できるのかやってみましょう。

一番大切なことは、むし歯や歯周病をきちんと管理することです。その理由はむし歯で神経を抜いた歯は割れやすくなり、歯周病のある方はより悪化しやすいからです。この悪い条件にひどいブラキシズムが加わった場合に相当な勢いで歯を失う危険性があります。 歯科医院では以下の対策を行います。

  1. 夜間の歯ぎしりや噛みしめから歯を守るために"ナイトガード"(写真3)というプロテクターを作ります。
  2. 左右の歯できちんと噛めるよう治療が必要な歯は治しておく(時には大掛かりな治療も必要となる)
  3. かみ合わせのバランスを調整する
  4. 定期メインテナンスをきちんと行い管理する。

最後に、これまで若い時から自分は歯が丈夫だと思っていた方にもこの危険は忍び寄っていますのでご注意ください。


写真3:ナイトガード~睡眠時に上の歯に装着

写真3:ナイトガード~睡眠時に上の歯に装着