お口に関する話

骨粗しょう症

骨粗しょう症は閉経後の女性に多いのですが男性にも見られます。患者さんは500~1000万人と言われ、高齢者が転倒で骨折したりすると寝たきりや介護支援へと発展しやすいためその予防に薬を使用される方も増えています。中でもビスフォスフォネート製剤(BP薬)に関連して抜歯などの外科処置に伴い稀に治り難い顎骨壊死が発生することがあります。そのような事態を避けるための対策について解説します。

Q改めて骨粗しょう症について教えて。
A骨の量が減って骨がもろくなる、女性や高齢者に多い病気。初期は、骨の量の減少があっても痛みなどの自覚症状がない場合もある。症状は腰痛、背中の痛みなどを訴えることが多く、骨折に基づくものがほとんど。
Q骨粗しょう症と歯の治療にはどんな関係が?
A2003年にアメリカでビスフォスフォネート薬剤、通称BP薬剤による治療を受けている患者さんに、あごの骨が腐ったり重い感染症にかかったりするケースが見られ、その中でも歯の治療後に発生することが多いと報告された。
Qアメリカだけの症例なの?
Aいいえ、日本でも同じような例が報告されている。
Q薬の名前をもう一度教えて。どんな薬?
A骨粗しょう症やがんの骨転移、高カルシウム血症、多発性骨髄腫などの治療に広く使われている薬。
Qどんな風に接種する薬?飲み薬?
A飲み薬と注射薬。これまでの研究では、飲み薬よりも注射薬で副作用が現れるといわれている。骨粗しょう症の治療は、一般的に飲み薬を使うけれど、100%安全とはいえない。
Qどうしてあごの骨が腐るの?
ABP薬剤は骨が溶けるのを抑え骨の量を増やす効果がある薬。なぜあごの骨を腐らせるのか、今のところ原因はわかっていない。
Q腐ってしまった骨を治す方法はある?
A骨が壊死してしまった場合、骨の回復は極めて困難。
QBP薬剤による治療を受けている場合は歯の治療を受けないほうがいいということ?
Aいいえ、副作用は、抜歯、インプラントの埋め込み、腫れた歯ぐきや腐った歯の根を治療するなど外科的な処置の後に発生する。歯石の除去やブラッシング、修復治療などには影響がみられない。
Qもう一度確認。BP薬剤による骨粗しょう症の治療を受けていて、抜歯、歯ぐきや歯の根を治療するときには、あごが腐ったりしてしまうなどの副作用がある。BP薬剤の治療を受けている方や過去に受けていた方は?
A勝手にBP薬剤の服用を止めたりせずに、歯科医と主治医に相談をして。過去に使っていた方もそのことを歯科医に伝えるように。
QBP薬剤による治療を始めることになったらどうしたらいいか?
A安心して骨粗しょう症治療を受けるために治療開始前に必ず歯科健診を受けること。歯科治療は終わらせておくこと。定期管理を受けて口の状態を健康に保つことが大切。
Q普段はもちろん、骨粗しょう症の治療を受けているときにも口の中のケアを怠ってはいけない?
A口の中のケアができていると、副作用が発生しても重くならないと報告されている。歯科医院で定期的なチェックとプロによるケアを受けて、口の状態をいつもきれいにしておきましょう。

骨粗しょう症の代表的治療薬の「ビスフォスフォネート製剤」(BP薬)は骨粗しょう症の治療薬に非常に有効なため多くの方に処方されています。他にもカルシウムの吸収を良くする「活性型ビタミンD剤」「ビタミンK剤」や閉経にて不足したホルモンを補充する「エストロゲン製剤」「カルシトニン製剤」のほか「カルシウム製剤」や「漢方療法」などが使用されています。BP薬を服用されている方に外科的歯科治療の抜歯、インプラント、歯周病の手術などを行った場合、その発生頻度は低いとされていますが、難治性の顎骨壊死や顎骨骨髄炎を起こすことがありますので、BP経口薬である「ダイドロネル」「フォサマック」「ボナロン」「アクトネル」「ベネット」などを服用されている方や注射薬で治療をされている方は、歯科治療の際には担当歯科医師にその旨を申し出てください。

骨粗しょう症と診断されBP薬が必要となった場合、必要な歯科治療を事前に済ませてから服用を開始した方が良いとされています。入れ歯も歯肉に食い込むような状態は危険ですので治しておきましょう。特に口の中が不潔な状態は病状が発生しやすくなりますので日頃からの管理が大切です。糖尿病、肥満、喫煙者も要注意です。

BP薬を使用していても歯石除去、むし歯治療、入れ歯治療などの通常の処置は可能です。3年以上使用している方や3年以内でもステロイド薬を併用されている方の場合はBP薬処方医と相談の上で外科的な治療前3ヶ月は服用を中止し、処置後も骨の回復を確認してから服用を再開します。注射薬使用の場合は更に慎重な対応が要求されます。この問題はまだ未解明の部分も多いため、抜歯やインプラントなどの処置は極力避けることが一般的な対策とされています。

骨粗しょう症の方は歯を支える顎の骨がスカスカになっていることから、歯周病と骨粗しょう症の重複進行で非常に危険な状態を招くことになります。予防のためには食事や運動などの生活習慣の改善として以下の問題に注意しましょう。

  1. 偏食によるカルシウム不足
  2. 運動不足
  3. 過度の喫煙や飲酒
  4. ストレスや過労
  5. 無理なダイエット
  6. 適度に日光浴する

歯科からみた予防対策としては日常の生活で食事はよく噛んで食べる(一口30回~50回)ことや毎食後のブラッシングをきちんと行うなどの基本的予防法はもとより、かかりつけ歯科医による定期健診やメインテナンスも大切です。もし、むし歯や歯周病の進行が確認されたなら早めに治療と予防対策を開始しましょう。

<<2013年6月>>

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