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家庭の医学辞典

歯の健康相談

かしこいお母さんの乳歯管理(2)



むし歯にしない食生活の始まり

1.授乳期・・・甘昧を教えない
 赤ちやんにとって母乳以上に優れた栄養品をつくりだすことは今のところ不可能で、 「できるかぎり母乳で赤ちやんを育ててほしい」というのが、すべての専門医の願いです。 しかし、母乳をやりたくてもどうしても乳の出が悪いお母さんや、 仕事の関係上1日のうち何回かは粉ミルクに頼らざるをえないお母さんも大勢いると思います。 この場合、大切なのは、人工乳に甘味を入れないということです。歯がはえる前は、当然むし歯にはなりませんが、 赤ちやんの時期に甘いものを与えてしまうと、早くから甘いもの好きの子どもになってしまうからです。ただし、 市販の粉ミルクには糖分の補給のために「乳糖」が加えられていますが、この乳糖による甘味の習慣化は心配する必要がありません。 問題は、お母さんがミルクに砂糖を加えることです。また、果汁を与える場合にも、市販品には砂糖が入っていることが多く危険です。 天然果汁を与えてほしいものです。

2.離乳期・・・母乳でもむし歯はできる
 乳歯がはえ始める時期ですから、本格的なむし歯予防が必要です。歯科医学的にも、最も大切な時期といえます。 砂糖の入った飲み物やお菓子を与えると、甘味に対する嗜好が強まり、むし歯の直接原因となってしまいます。 こういったことは最近のお母さん方は十分承知していると思いますが、意外と知られていないのが、 「ダラダラ哺乳がむし歯をつくる」ということです。特に、眠りにつきながらの哺乳は適切な時期がきたら中止することが大切です。 母乳の場合、添い寝しながら与えることが多いため、人工乳よりかえってむし歯になりやすいというデータがあります。 母乳だから安心とはいえないのです。
年齢が進むにつれて哺乳を少なくし、牛乳をコップで飲ませたり、適切な時期に離乳を開始して、 正しい食生活へと導いてください。このころにニンジン、セロリなどで「野菜スティック」をつくり、 しゃぶらせたりかじらせたりするのも、大きなむし歯予防効果があるだけでなく、野菜好きの子どもにすることができます。 野菜に含まれる繊維には、汚れをとり去る歯ブラシ効果もあるのです。




乳幼児と乳歯の特殊性

乳歯は永久歯にくらべてむし歯になりやすいといわれます。この理由には、乳歯そのものの問題と、 乳幼児が置かれている環境の2つが考えられます。
 エナメル質は、カルシウムとリンの化合物であるハイドロオキシアパタイトという硬い結晶が集まってできたもので、 本来むし歯に対する抵抗性はかなり強いものです。しかし、乳歯のエナメル質の厚さは永久歯の約半分と薄く、 石灰化が低くて酸に対する溶解度が高いので、ひとたびむし歯にかかると急速にエナメル質がおかされ、 またたく間に象牙質内へ進行してしまいます。
また、乳幼児は咀嚼運動が少なくて飲みこむまでの時間が長いので、食べた食品が長く口の中に停滞することになります。 このためプラーク(歯垢)を生じやすく、ミュータンス菌の増殖をきたし、むし歯の発生の1つの誘因となってしまいます。
睡眠時間が長いことも1つの理由です。睡眠中は、口の運動がほとんど行なわれず、唾液の分泌も少なくなっています。 このため唾液による浄化作用が十分に行なわれず、細菌が増殖してむし歯にかかる機会が多くなります。
乳児は自分でブラッシングができませんし、幼児も完全にプラークをとり除けるほど器用ではありません。ですから、 お母さんが補助してあげないと、十分な口腔清掃が行なえません。
こうした環境の中で、お母さんが「乳歯の重要性と特殊性」をよく理解していないと、 不適当な食品を与えることが重なってますます子どもの歯をひどくしてしまいます。さらに、 子どもの口の中をのぞくことが少ないと、初期のむし歯の発見が遅れ、また乳幼児は自覚症状を訴えることも少ないので、 知らないうちに悪化してしまうことがあります。
こうしたことをお母さんがよく認識し、子どものむし歯予防に努めていただきたいものです。子どもは大人を小さくしたものではなく、 「子どもとしての特殊性」があることを忘れてはなりません。



乳歯のむし歯の特徴

 乳歯のむし歯は、幼児期から学童期にかけて著しく増加しますが、場合によっては乳児期にも発生します。乳歯のむし歯は、永久歯に見られるむし歯とはかなり異なっており、次のようないくつかの特徴があります。

1.多発し、しかも進行が急速である
 乳歯のむし歯は、永久歯と比較して、一時に多数の歯や歯面に発生しやすく、またその進行速度も著しく速く、数ヵ月で歯髄(神経)までおかしてしまうことが多いのです。

2.自覚症状が明確でない
 永久歯では、むし歯の進行過程で「水がしみる」「痛む」などの自覚症状が現われ、これがむし歯を知らせる「警報」ともなっています。しかし、乳歯のむし歯では、そのような警報的症状が見られないことが多いのです。そのため、本人やお母さんが気づかないうちに、むし歯が進行して重症になってしまいます。食べかすがむし歯の穴に入るほど大きくなってから、初めて痛みを訴えたり、骨まで細菌が侵入して歯ぐきやほっぺたが腫れあがってからやっと歯科医院を訪れるケースが少なくないようです。

3.発生しやすい年齢がある
 最近、3歳児健診ではむし歯のない子が非常にふえていますが、残念ながら3歳をすぎて5歳ころまでにむし歯が多発している傾向があります。

4.発育の環境に左右される
 お母さんが妊娠中に病気をしたり、あるいは出生後赤ちやんの発育環境が悪かったり、また病気をしたりすると、歯の形成にも影響をおよぼして乳歯のむし歯が発生しやすくなります。未熟児の場合も、発育の遅れは歯にも悪影響を与え、早期にむし歯が発生して拡大する傾向があります。人工栄養児は、哺乳ビンによる授乳を行なうため、母乳の場合より唇の運動が十分ではありません。そのため、唇による浄化作用が不十分で、上あごの前歯にむし歯が発生しやすくなります。

5.発生しやすい場所がある
 上あごの前歯が早期にむし歯にかかりやすく、次に下あごの臼歯、そして上あごの臼歯に多く発生しやすくなっています。下あごの前歯の発生率は低いようです。また、発生しやすい部位としてはこのほか、隣接面(隣りの歯と接するところ)、咬合面(臼歯の咬む面)があげられます。




乳歯はなぜ大切なのか

「どうせ永久歯にはえかわるのだから乳歯のむし歯など治療しなくてもいいのでは」 と思っている方が残念ながらまだおられるようです。けれども、これはとんでもない誤解です。 乳歯は、肉体と精神の発達が最も旺盛な乳幼児期および学童期における、とても大切な咀嚼器官なのです。
乳歯には次のような役割があります。

1.永久歯にはえかわるまでの間、食べ物を咬みくだいて栄養を摂取する咀嚼器官として、子どもの肉体的発育にとって、 重要な役割をもっています。

2.乳歯の咬む力は、あごや顔の骨の発育に適切な刺激を与え、さらに脳の発達にも大きな影響を与えているといわれます。

3.乳歯は、将来はえてくる永久歯のためのスペースや咬み合わせの適切な関係を確保しています。 上あごと下あごの第一大臼歯(一番最初にはえてくる永久歯で6歳臼歯ともいわれます)は、 第二乳臼歯の後方の面を誘導面として咬み合う位置まではえてきます。

4.赤ちやんから幼児期にかけて、正しい発音を覚えることにも重要な役割をはたします。

5.乳幼児期・学童期の精神発達にも大きな影響を与えるといわれています。

どうですか、お母さん。乳歯は、こんなに大切な働きをしているのです。 「どうせはえかわるから」なんていってはいられませんね。子どもの一生を左右することになるかもしれないほど大切な歯なのです。




子どもをダメにする乳歯のむし歯

こんなに大切な乳歯・・・そこにできたむし歯を治療せず放置しておいたら、いったいどんな弊害があるのでしょうか。
乳歯のむし歯は多発性で、しかも進み方が速いことはもうおわかりですね。乳幼児期・学童期は心身の発達期ですから、 むし歯が様々な悪影響を与えることは容易に想像できるところです。
まず、むし歯で穴があくと、ものが咬みにくくなって、肉や野菜などの繊維質で硬い食品をいやがるようになります。さらに、 むし歯が歯髄(神経)にまで進行すると、痛むのでますます咬まなくなって、軟らかな食品ばかりを好み、 食欲不振が助長され偏食の傾向が強くなっていきます。本来楽しいはずの食事が苦痛なものになり、 大切な成長期に栄養障害を起こしたり、食べられないという欲求不満からわがままになったりして、 心身の形成にも大きな悪影響を与えかねません。
また、咬む力が弱くなり、その回数もへるので、適切な力があごや顔の骨に伝わらなくなり、成長が悪くなることがあります。 さらには、永久歯のはえる場所がたりなくなり、歯並びが悪くなったり、上あごや下あごに大きさのアンバランスを生じたります。
乳歯をむし歯で早期に失うと、後方の歯が前の方向に寄ったり傾斜したりして、永久歯が本来の正しい位置に出られず、 結果的に歯並びが悪くなることもあります。
乳歯のむし歯を放っておいたら、はえたばかりの、永久歯の頭がむし歯だった、ということもあります。 永久歯の芽が石灰化を始める時期に、上方にある乳歯の歯髄が腐って炎症が根の外にまで波及すると、 永久歯の正常なカルシウム沈着が妨げられてしまい、はえてくる以前にむし歯のような状態になってしまうのです。 乳歯の発達とともに、永久歯の芽はその下で徐々に育ちながら出番を待っているわけですから、乳歯のむし歯はそのあとに続く、 永久歯にまで大きな影響を与えるわけです。
また、むし歯で前歯を失うと、空気がそこから抜けてしまい、サ行やタ行の発音がうまくいかず、 言葉や発音を身につける時期に重大な問題をひき起こします。
さらに、慢性的な化膿をともなうむし歯は、心臓疾患を起こしやすくするともいわれています。




おやつは、しつけの第一歩

1歳をすぎて自立歩行をするようになると、子どもはおやつを食べ始め、さらに2歳をすぎると、 子どもの生活にリズムができてきて、「習慣」を身につけていく時期に入ります。生活が活発化し、遊びを覚え、 食べ物に対しても興味を強く示すようになります。この時期に、いかに規則正しい生活習慣を身につけさせるか-すなわち、 いかに「しつけ」をするかが、その後の心身の成長発育に大きな影響を与えることになります。今日ほど、 子どもに対するしつけが乱れ、またその必要性が叫ばれている時代はありません。
むし歯は、歯磨きだけではけっして防ぐことはできず、規期正しい生活と食習慣が身について初めて、その防正も可能になるのです。 その意味でも「おやつの与え方」は重要なポイントになります。子どものほしがるままに市販の菓子類を買い与え、 のべつまくなしに食べさせたら、いったいどうなるでしょうか。欲求をコントロールできない、わがままな子どもになり、 お菓子でお腹がいっぱいになっているために3度の食事を十分に食べられなくなります。さらには、 栄養バランスがくずれて心身の発達に悪影響を与え、むし歯の多発を招くことなります。 子どもの「食べる行動」に対して、親は正しい方向に導いてあげなければなりません。「おやつは、しつけ」なのです。
では、具体的にはどうしたらよいのでしょうか。それには、1.与える時間、2.与える量、3.与えるもの・・・の3点が大切です。 決まった時間に適切なおやつを与え、ダラダラと食べさせないということです。
与える「時間」については、昔からいわれる10時と3時がいいでしょう。また、与える「量」については、 1回15分以内で食べ終えることのできる量にしたいものです。特に、ダラダラと食べるのは、 口の中に長時間大量の食品が入るわけですから、むし歯になる危険性がますことになります。 スナック菓子の袋をぶらさげてボリボリ食べている子どもさんをよく見かけますが、ぜひやめさせてほしいと思います。 与える「もの」については、甘いものがすべていけないというのではなく、それが長時間にわたって与えられていることが問題なのです。 また、与えるものの組み合わせも大切で、食べたあとは、牛乳やお茶など、 砂糖を含んでいない飲み物で口の中の食べかすを洗い流すことが必要です。もちろん、 「おやつを食べたら必ず歯を磨く」習慣をつけることはいうまでもありません。




砂糖のとり方

一般的には、砂糖がむし歯の主な原因と考えられていますが、同時に、砂糖は生活に必要な食品であることも事実です。 砂糖をとっても、それですぐにむし歯になるというわけではなく、むし歯の発生には時間の経過が必要ですから、どのくらいの時間、 口の中に砂糖が存在していたかが問題となってくるわけです。日本では、砂糖が料理に使われるのは西欧に比較すると少なく、 食事に使われる砂糖の量だけではそれほど心配する必要はありません。けれども、お菓子類には大量の砂糖が使われており、 食べ方に注意しないと、むし歯の多発の原因となってしまいます。特に子どもは、 おやつによって大量の砂糖を摂取してしまう恐れがあるので、与える量と時間を十分に考慮してあげる必要があります。 子どもが1日にとってもよい砂糖の量は、多く見積っても20グラム(角砂糖1個で約4グラム)ですから、 この範囲内で食事やおやつの量を考えましょう。

おやつに含まれている砂糖の量(平均)

菓  子  類

飲  み  物

種 類

砂糖含有量

種 類

砂糖含有量

アイスクリーム

1コ

5g 

缶コーヒー

1本

18.5~20.0g 

ケーキ

1コ

16.2g 

乳酸菌飲料
(うすめて飲むもの)

原液35cc

19.1g 

パ  イ

1コ

27.0g 

コーラ

小1本

16.0g 

シュークリーム

1コ

7.2g 

ネクター

200cc

30.9g 

ドーナッツ

1コ

9.6g 

天然果汁
(果 糖)

100cc

6.3g 

カステラ

1切れ

20.0g 

ヨーグルト

1本

15.2g 

ビスケット

1コ

16.0g 

炭酸飲料

200cc

約20g 

菓子パン

1コ

16.0g 

 

 

 

キャラメル

1箱

20.2g 

 

 

 

チョコレート

1枚45g

20.7g 

 

 

 

チューインガム

1箱

9.0g 

 

 

 

乾パン

2コ50g

2.5g 

 

 

 



甘いお菓子はいけないか

幼児期の「おやつ(間食)」は、子どもの成長・発育に大きな影響を与える「一種の食事」と考えられます。 それだけに、「何をどう与えるか」を慎重に考えたいものです。
どうして、おやつが必要なのでしょうか。
幼児の栄養所要量は、体重あたりでは成人のそれよりも多く必要となります。たとえば、12歳児の1日の所要カロリーは、 体重1キログラムあたり100キロカロリーといわれています。これは大変な量で、 消化機能が未熟な幼児にとってご3回の食事だけではとても摂取しきれないものです。そこで、 それだけではたりないエネルギーをどこかで補給する必要があり、それを「間食」と呼んでいるのです。
昔は、芋類、豆類などや、かきもち、せんべいなど、比較的手づくり性の高い単純なものが多かったのですが、 最近では市販の菓子類が大量消費されているのが現状のようです。
市販のおやつは、種類も豊富で、確かに便利なものですから、これを頭ごなしに「いけない」というのは、 もはや非現実的なことといえそうです。
むし歯予防の観点から、「お菓子=甘い=悪い」という理由で、 目の敵にしていた時代もありましたがここで少し見方をかえてみましょう。
乳児院の子どもたちは、市販のお菓子を食べていても、むし歯が非常に少ないというデータがあります。 それは、決められた時間に決められた量しか食べていないという、食生活の「しつけ」をきちんと守っているからにほかなりません。 そして、与えられる食品に偏りがないということでもあります。
甘いお菓子は、子どもに幸福感をもたらすものですから、確かに禁止ということは考えものです。 要は、「与え方」にあるのです。ところが最近、この与え方が、かなりいいかげんになってしまい、 それをまったく気にしない風潮が子どもを囲む環境に見られます。「しつけは食生活から始まる」といえますから、 これは重大な問題です。まして子どもの心身に悪影響を与えるとなれば、なおさらです。

手づくりおやつのすすめ

子どもは大人より、栄養やカロリーが多く必要です(体重1キロあたり)。 しかし、子どもの胃は小さいため、三度の食事だけではそれをなかなか消化・吸収しきれません。 つまり、「おやつ」は「軽い食事」ともいえるものなのです。
また、水分の補給にも心がけてください。大人の体重は60%が水分ですが、子どもは70%が水分です。 飲み物には甘くない麦茶や牛乳が適当でしょう。さらに、あごの発達のため、 硬めのものもときどき与えてあげてください。
ない、上のイラストはほんの一例です。



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